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気が向いたら思いついたことを書いてみます
岡野他家夫『書国畸人伝』(桃源社。昭和三十七年)には、外骨・竹山人・荷風等と並んで、
校正の神様神代種亮
の一章がある。
芥川龍之介・坪内逍遙・永井荷風・佐藤春夫・姉崎正治・有島武郎・谷崎潤一郎などは、自作自著の校正を神代に委嘱したという。
今日は、尾佐竹猛『新聞薈叢』(岩波書店。昭和九年)の末尾に、神代の「校訂につきて」という文章のあるのが目に入った。校正のみならず校訂も行なっていたようである。以下、引用。
  校訂につきて
一原本の忠実なる覆刻たらんことを期し、現代活版印刷術の及ぶ限りを尽さんことに努めたり。
一校訂及び校正に当りては、濫りに私意を加へずと雖も、仮名の一種としての漢字は之を改めたり。例へば「者(は)」「而(て)」「與(と)」の如し。又仮名の異体なるものも通行体に改めたり。
一筆写本にありては片仮名と平仮名との混用を妨げずと雖も、之を活字に現はすことは体裁の乱雑を来すを以て、特殊なる用例を除きては平仮名に統一したり。又仮名を右側に小さく旁書せるものも改めたり。
一同一文中に在りて敬意を表はす為の語頭の空白、行改め等の一致せざるものは体裁上之を統一したり。
一引用文は之を更に原文に対照して校訂すること必ずしも不必要ならざるも、誤写のまゝにて読解されたるものなれば、今敢て加筆せず。
一人名地名等の用字の区々なるものあれども、之が考証を加へず。例へば福岡県大里の「内裏」「内裡」「大理」等とあるが如し。
一用字語格送仮名句読等につきては厳に原本に随ひたりと雖も、同一文中にありて甚だしく区々なるものは一見誤植なるかの虞を懐かしめ、又一々之を旁証すること煩に過ぐるを以て適当に統一したり。例へば「儀」と「義」との混用の如し。
一原本には当時の慣例として弖爾遠波を省略せる箇所甚だ多し。
一題目に大活字を用ゐたる直前の「○」符は原本に於て紙改めなることを示し、其他に在りては原本に随ひたるものと、前後の区別を明瞭ならしむる為に加へたるものとあり。
一原本に朱書せるものは上下に「〔〕」を施して区別したり。又「()」符にて「マヽ」「不明」「カ」等と旁書せるもの以外の小文字は原本に存するものなり。
一原本は年月を逐ひて輯録したるものなるを以て、年代的索引として詳細なる目次を編して巻首に置き、以て事項索引に代へたり。
一原稿は昭和六年十二月に手入れを了りたれども、事情に依りて原稿が印刷所へ廻附されるまでに一個年に近き日子を空費し、之が為に校訂者の作業予定にも支障を生じ、遂に故下出隼吉氏一周忌までに完成するを得ざりしのみならず、事半ばにして明治文化研究会の柱石たりし吉野作造博士の易簀に遭ひしは甚だ遺憾とするところなり。謹みて之を謝す。
    昭和八年十二月      神代種亮記
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