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気が向いたら思いついたことを書いてみます
中高時代は新潮文庫、大学で岩波文庫を買うことが多かった。古本屋巡りをするようになると、創元文庫という布地表紙のシブイものを手にしたような記憶があるのだが、ネットで検索すると、「創元推理文庫」しか出てこない。これはどういうことなのか。私は推理小説は読まない。念のため「日本の古本屋」サイトを見ると、創元文庫がたくさん出ているから、私の記憶に間違いはない。ウィキペディアを初め、「創元文庫」の解説がないのは不審。
今日は、「誠文堂文庫」なるもののあったことを知った。私は手にしたことがない。小川菊松の「誠文堂文庫発刊の辞」(昭和七年八月)によると、
旧10銭文庫中の優秀本を増補改訂
したものだという。
小川菊松『出版興亡五十年史』(昭和二十八年)には、次の記述がある。
 十銭、廿銭の小型文庫は、売れさえすれば、これ程手がけよい、楽な仕事はない。が百巻二百巻の叢書となつて見ると、各巻のストツクを用意するだけでも容易なことではない。そこへ競争者が出たり、飽かれたりすると一気に行きつまつて、案外にその尻が大きい。底知れずの地獄落しといつた形になる。わが誠文堂でも、昭和八年に、「誠文堂十銭文庫」を企画し、短期に百冊を出版して主だつた小売店に陳列ケースを提供したりして、相当華美な宣伝等を試みたのであるが、期待した成果は得られなかつたし、調子に乗つて地獄落しの馬鹿を見てもツマラヌと思つて、残本か出ぬ程度に売り抜けて、後腐れなく打ち切つてしまつた。事実十銭本であれば、二万や三万の売行きでは、丸々儲けたところが知れたもの、身にも皮にもつかないし、気骨ばかりは一人前以上に折れるのだから、長くは続ける気にならなかつたわけである。
 アカギの十銭文庫は、ドイツのレクラム版にヒントを得たものであろうが、このレクラム版の方式をソツクリ模倣して、★一つ十銭という廉価の大叢書を作つて成功したのは「岩波文庫」である。大正年代から二十余年に渡つて二千数百巻を発行し、今なお盛〈サカン〉に出版して益々声価を高めているのは偉いもので、まさに文庫としても王座の揺がぬものであるが、これは内容がいれも生命のあるというばかりでなく、用紙も最上質、印刷が鮮明で、蔵書家の愛好をそゝるに足ることも、この文庫が永く飽かれずに来た原因の一つであろう。事変から戦争中にかけて、用紙の統制が厳しかつた時代にも、岩波文庫は、遂にこの紙質を落さなかつたところを見ると、どの位紙のストツクがあつたのかと驚かされたものである。
この回想の
昭和八年に、「誠文堂十銭文庫」を企画し
というのは間違いで、昭和五年から七年にかけて出したものである。小川菊松は岩波の真似をして十銭文庫を出したものの、早々に撤退し、売れ行きのよかったもののみ若干を「誠文堂文庫」として出したもののようだ。「日本の古本屋」で検索すると、十三点しかない。「新文芸辞典」「川柳入門」以外は、ハウツーものだ。

昭和時代の岩波文庫を現在手にしても、紙質の良さなどというものは全く感じないが、やはり半世紀近く年代を経ると衰えるものなのか。現在の岩波文庫の紙質はよい。岩波新書の紙よりも薄くて艶があり、すばらしいものだ。何年で艶が落ちるのだろうか。
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