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気が向いたら思いついたことを書いてみます
石角春之助が、
本誌の後援者であり、同時に僕を支援して呉れてゐる画家の古淵唖草氏が、僕の服装が余りにも醜いので、それを気にして、立派な単衣物一枚を贈つて呉れた。其の友情の細やかさに、僕は泣かされもしたが、しかし仕事の前には、此の貴き恵みに反し、十の字曲げつ太き息つかざるを得なかつた。〈中略〉だが、僕はこの貴い友情から与へられた七つの字を永久には曲げては置かない。やがて時節が来ると、元の如く十の字に延ばして、古淵氏の友情に浴する積りである。
と書いている(『江戸と東京』第三巻第六号。昭和十二年六月)。
「十の字曲げつ」とはどういうことだろうか。辞書にも載っていない。頼れるのはネット。調べると、久生十蘭『風流旅情記』に、
内地に居れゃ、十の字の尻を、右へひン曲げるのが半商売の、しがねえ野郎どもだが
とあった。これでわかった。
「十」という字の最後を右に曲げれば「七」となる。「七」「曲げる」といえば、「質屋に質入れすること」だ。質入れすることを、「曲げる」「殺す」と言う。
すなわち、石角は古淵から着物を贈られたものの、それを質に入れ、金に替えてしまったということだ。
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